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東京地方裁判所 昭和45年(わ)4070号 判決

被告人 高橋一隆 外八名

主文

被告人田中敏夫を懲役六月および科料八〇〇円に、

被告人太田文和を懲役五月および科料八〇〇円に、

被告人我有晴美を懲役五月および科料八〇〇円に、

被告人廣瀬公一を懲役五月および科料八〇〇円に、

被告人高橋一隆を懲役四月および科料八〇〇円に、

被告人市平博紹を懲役四月および科料八〇〇円に、

被告人熊本誠を懲役四月および科料八〇〇円に、

被告人林千春を懲役四月および科料八〇〇円に、

被告人志部雄介を懲役四月および科料八〇〇円に、

それぞれ処する。

被告人らにおいてその科料を完納することができないときは、それぞれ金八〇〇円を一日に換算した期間、その被告人を労役場に留置する。

被告人ら全員に対し、この裁判確定の日から各二年間、それぞれその懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、別紙訴訟費用負担明細表(略)のとおり、被告人らの連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人らは、いずれも、いわゆる革共同革マル派に同調し、かねて日米安保条約の自動延長に反対していたものであるが、ほか数名と共謀のうえ、国鉄動力車労働組合東京地方本部の反安保半日ストを支援するため、留置中の電車に樹脂塗料などを用いて落書汚損しようと企て、

第一  昭和四五年六月二一日午前二時一五分ころ、ほか数名とともに、東京都豊島区上池袋二丁目四五番一六号所在日本国有鉄道東京北鉄道管理局池袋電車区構内(同区長東光英昭管理)電車収容線内に、みだりに立ち入り、

第二  前同日同時刻ころから同日午前二時五〇分ころまでの間、右電車収容線内において、前記数名と共同して、留置中の電車車輛モハ一〇一―一一七号ほか五八輛の車輛外板七二面に、アルキツド樹脂系塗料、吹付式ラツカー系塗料(昭和四六年押第六二〇号の四、七、八および一〇ないし一三)などを用いて、「佐藤政府打倒」「安保粉砕!」「国鉄スト支援」「革マル派」などの文字を乱雑に書きつけて公共の用に供する右電車車輛を著しく汚損し、もつて数人共同して前記東光英昭管理にかかる電車車輛五九輛を損壊した

ものである。

(証拠の標目)(略)

(弁護人の主張に対する判断)

一、弁護人は、まず、被告人田中敏夫、同太田文和、同志部雄介については、同人らに対する本件現行犯逮捕手続は違法であり、右違法な逮捕に引き続く本件公訴は公訴権を濫用した違法、無効なものであるから、右各被告人らに対しては公訴棄却の言渡しがなされるべきであると主張する。

しかしながら、被疑者の逮捕手続に違法があつたからといつて、その一事だけで直ちに当該事件につきなされた公訴を違法、無効と解すべき法律上の根拠は存しないのみならず、本件においては、右各被告人が本件各犯行を犯したと認むべきことは後記認定のとおりであり、さらに同被告人らの逮捕状況については、前掲各証拠によれば、

1  (1)被告人田中を逮捕した警察官一ノ瀬隆は、警視庁池袋警察署池袋駅西口派出所で勤務中、六月二一日午前二時五〇分ころ、本署より「学生らしき男十数名が池袋電車区で放火しようとしている。」との連絡を受けて、直ちに相勤者石井信一とともに現場に向かつたが、途中同日午前三時一八分ころ、携帯受令機で「右電車区内では電車がペンキ様のもので落書され、犯人は逃走した。」との連絡を受けたこと、(2)ところが、その直後、池袋社会保険事務所の裏手にさしかかつた際、同事務所車庫裏階段上に川越街道の方から降りて来る被告人田中ら三名の姿を発見、同所が池袋電車区と極めて近い距離にあり、しかも同階段は通常一般の人が通るところとは認められず、かつ深夜の三人連れでもあつたことから、あるいは本件になんらかの関係があるのではないかとの強い疑いを抱き、職務質問を開始すべく同被告人らを呼び止めたこと、(3)しかるに、被告人田中ほか一名はこれに応ぜず、反転して階段をかけあがり、川越街道を逃走し始めたため、右一ノ瀬はなお職務質問を行なうべく同被告人らを追跡したこと、(4)その際右一ノ瀬は、右被告人廣瀬の所持していたビニール製買物袋の中に、ラツカーシンナー様のものが入つていると思われるガラスびんを認めたため、ここに前記電車への落書犯人は右被告人田中らであると考え、約三〇〇メートル追跡し、同日午前三時二一分ころ、同区上池袋二丁目五番一七号信和建設株式会社駐車場先路上において同被告人を停止させ、そのワイシヤツの袖口にペンキ様の黒いシミが付着しているのを確認のうえ、同所において、器物毀棄罪の準現行犯人として逮捕したこと、

2  (1)被告人太田、同志部を逮捕した警察官金野重義は、警視庁池袋警察署池袋本町派出所において、「池袋電車区内に十数名の学生が入り込んだ。現在池袋本町一丁目の方向に逃走中である。」との指示を受けて現場に急行し、付近一帯を捜索中、同日午前三時二〇分ころ、小林薫方前を通りかかつた際、右小林方脇の路地から相次いで出てくる被告人太田、同志部両名の姿を発見、同所が通常深夜人の出入りするところとは到底認められず、しかもその裏手至近の距離に本件池袋電車区が存在し、かつ被告人志部のズボンの膝が汚れていたところから、同被告人らが右電車区に侵入した犯人ではないかとの強い疑いを抱き、同所を徘徊する理由について職務質問したこと、(2)しかし、同被告人らの返答が一向に要領を得なかつたため、右金野はさらに質問を続行すべく、同日午前三時三〇分ころ、右両名を約三〇〇メートル離れた池袋警察署川越通り派出所に任意同行したこと、(3)ところが、右金野は、同派出所において、当直の中島巡査長より「電車区に侵入した者は電車に落書をした。」と聞いたため、あらためて右両名の身体、衣服等を検するに、被告人太田の両手掌にはペンキ様の薄黒い汚れが付着し、また被告人志部の着用するジヤンパーの袖口にも黒色ペンキ様のものが付着していたので、ここに、被告人両名をいずれも暴力行為等処罰ニ関スル法律違反(器物毀棄)の準現行犯人と認め、同日午前三時四五分ころ逮捕したこと

等の諸事実が認められるのであつて、以上の各逮捕に至る経過に徴すれば、いまだ被告人田中、同太田、同志部に対する準現行犯としての本件各逮捕手続に必ずしも違法があつたとは認められない。従つて、この点に関する弁護人の主張は採用の限りでない。

二、弁護人は、つぎに被告人田中敏夫、同太田文和、同志部雄介については、いまだ判示の各犯行を犯したと認めるに足る証拠はないから無罪の言渡しがなされるべきであると主張する。

そこで、右の点について判断するに、前掲各証拠を総合すると、

(1)  同日午前二時一五分ころ、東京都豊島区池袋本町一丁目三一番一三号に居住する繩谷けい子らは、同区上池袋二丁目四五番一六号所在の本件池袋電車区電車収容線内に、同電車区北端堀之内踏切から国鉄赤羽線線路敷を経て相次いで侵入する若い学生風の男一二、三名を発見、直ちにその旨一一〇番に連絡したこと、

(2)  そして、同日午前二時五三分ころ、警視庁池袋警察署勤務の警察官山本和幸ほか数名の警察官が相前後して現場に到着、留置中の電車間に右の者らを発見して直ちにこれが追跡にあたつたが、現場においては、うち被告人高橋、同我有、同熊本、同林の四名を逮捕したにとどまり、他の者らは全員、同電車区西側に隣接してこれと並行に走る前記国鉄赤羽線、東武東上線を横切り、さらに民家との塀を乗り越えて同区池袋本町一丁目方向に逃走したこと、

(3)  この間、右の者らは電車収容線内において、判示のとおり、留置中の電車車輛九九輛のうちモハ一〇一―一一七号ほか五八輛の外板七二面に、切抜字型紙片をあてるなどして、アルキツド樹脂系塗料、吹付式ラツカー系塗料等で、「佐藤政府打倒」「安保粉砕!」などと大書して落書汚損したこと、

(4)  現場には、右犯行に用いられたと思料される黒色および赤色の吹付式ラツカー系塗料の空罐(三〇〇ml入)計七本、切抜字型紙片約二三枚などが散在遺留されており、右空罐のうち六本には「カラースプレー、エアゾール吹付塗料、製造元神東塗料株式会社」との表示が存し、いずれも同種類のものと認められること、

(5)  現場で逮捕された前記被告人我有の着用していた白色のジヤンパーには、本件電車収容線内線路上の石塊に付着する塗料と同種の黒色アルキツド樹脂系塗料が付着し、また、被告人我有、同高橋、同林の手掌には黒色の、被告人熊本の手掌には赤色のそれぞれ塗料様のものが付着していたこと

との諸事実が認められるところ、そこで更に進んで、前記各被告人につき本件各犯行についての証明の有無について検討するに、前掲各証拠によれば、

1 (1)被告人田中は、同日午前三時一九分ころ、被告人廣瀬ほか一名とともに、本件電車区の南西端より川越街道をはさんで約一五〇メートルの距離にある同区池袋一丁目五二九番地所在池袋社会保険事務所西側車庫の裏階段上にいたこと、(2)そして折から現場に急行中の警察官一ノ瀬隆、同石井信一らに発見されて呼び止められるや、やにわに反転し、ほか一名とともに階段をかけあがつて川越街道を東方に逃走していること、他方、(3)一緒にいた被告人廣瀬がその際所持していたビニール製買物袋の中には、小型ダンボール箱に入つた未使用の吹付式黒色塗料七罐(三〇〇ml入)およびラツカーシンナーびん四本が存し、しかも、右の罐にはすべて「カラースプレー、エアゾール吹付塗料、神東塗料株式会社」等の表示があつて、現場に遺留された前記(4)記載の吹付式塗料と同種類のものであり、また、右ビニール製買物袋およびダンボール箱に付着していた黒色塗料はアルキツド樹脂系塗料で前記(5)記載の石塊に付着する黒色塗料と同種のものであつたこと、

2 (1)被告人太田、同志部の両名は、同日午前三時二〇分ころ、ともに本件収容線から前記国鉄赤羽線、東武東上線を挾んで約五〇メートルの距離にある同区池袋本町一丁目三一番六号所在小林薫方脇の路地から公道に出てきていること、(2)右路地は幅約六〇センチメートルであつて、通常右小林方裏手にある小林アパートへの通路としてのみ使用され、他への通り抜けはできない状態にあつて、しかも右小林アパートは高さ約一・五メートルの万年塀を境に東武東上線に接していること、さらに、(3)被告人太田の両手掌には広範囲にわたつてペンキ様の薄黒い汚れが付着し、その使用する短靴には、本件収容線内で落書汚損された電車車輛に付着する赤色ラツカー系塗料に類似する赤色塗料様のものが付着し、一方、被告人志部の着用していた緑色ジヤンパーには、その左袖口などに黒色ラツカー系塗料が存し、それは、前記(4)記載の現場に遺留された吹付式ラツカー系黒色塗料と同種のものであり、また、その使用する短靴には、右被告人太田の場合と同様に、右電車車輛に付着していた赤色ラツカー系塗料と酷似する塗料様のものが付着していたこと

等の諸事実が認められるのであつて、以上の諸事情を総合すれば、右被告人らが本件各犯行を犯したことは優に認められるところであつて、この点に関する弁護人の主張も採用することができない。

三、次に、弁護人は、本件電車車輛への落書は極めて軽微でいまだ物の効用を失わしめた場合と同視しうる程に美観をそこねたものとはいえないから、被告人らの判示第二の行為は刑法二六一条にいわゆる「損壊」に該当せず、従つて暴力行為等処罰ニ関スル法律一条に問擬される理由はないと主張する。

ところで、刑法二六一条の「損壊」とは、物質的に物の全部もしくは一部を害し、またはその物の本来の効用を失わせる行為をいうものと解すべきであるが、これを本件についてみるに、前掲各証拠を総合すると、

(1)  本件落書は、収容線一ないし一〇番線に留置された電車車輛九九輛のうち、五九輛の外板七二面にも及び、その記載内容も、判示掲記のもののほか、「日米共同声明粉砕」「6・23を斗い抜くぞ」「政治スト貫徹」などというもので、右落書には、黒色アルキツド樹脂系塗料、黒色および赤色ラツカー系塗料が用いられ、その汚損箇所も車輛の前面から側面(扉も含む)の広範囲にわたり、文字の量も極めて多くかつ一字が約五〇センチメートル四方にも及ぶ巨大なものも存し、いずれも人目につきやすく遠くからでもたやすく判読でき、しかも、その体裁たるや、はけでなぐり書きをし、あるいは切抜字型紙片をあてて塗料を吹き付るなどしたもので、まことに乱雑かつ見苦しいものであつて、このままでは、本来の使用目的に従い右各車輛を運行の用に供することは到底できない状態にあつたこと、

(2)  本件落書の被害を受けた電車車輛の大部分は、当日の国鉄赤羽線、同山の手線の運行に供する予定のものであつて、そのため、急遽他の落書をされていない予備車輛をもつてこれに代えることとされたこと、もつとも被害車輛が余りにも多かつたため全てを代えることは不可能であり、国鉄当局は落書汚損された電車の一部をやむなく運行せざるをえなかつたこと、

(3)  本件落書の消去作業は、同日午前八時一〇分ころから同日午後六時二〇分ころまでの間、職員五四名を招集して、残留留置電車から始められ逐次走行している落書電車と入れ換える方法によつて、重点的、応急的に行なわれたが、その付着塗料はたやすく落ちず、やむをえず強くこすると車輛外板の塗装までもが剥離するという有様であつて、作業は困難をきわめ、当日の応急処理費用だけで、ラツカーシンナー代、人件費等計約一一万七〇〇〇円を要し、その後、同月三〇日までの間、本件落書電車を順次洗滌線に入れ、相当の時間と労力をかけて、応急処理後もなお残る落書の痕跡消去、剥離した外板塗料の吹付塗装および手塗り塗装など本格的消去修復作業が行なわれたが、その費用は極めて多額にのぼり、しかもなお、車輛工場において専門的塗装を行なわなければ完全には原状に復しえない底のものであつたこと、

以上(1)ないし(3)の諸事情が認められるのであつて、要するに、本件被害車輛は、このままでは本来の使用目的に従つて運行の用に供することができない状態になつており、しかも、これを本来の使用目的に供し得る程度に修復することは著しく困難なものと認められるから、本件行為は刑法二六一条にいう「損壊」にあたり、従つてまた暴力行為等処罰ニ関スル法律一条に該当することは明らかである。弁護人の右主張も理由がない。

四、次に、弁護人は、被告人らの判示各行為につき、その動機ないし目的は、昭和四四年一一月の日米共同声明によつて重大な変革を遂げた日米安保条約の自動延長が、我国に種々の「基地」と「核」をもたらし、その将来を帝国主義・軍国主義に導くことを広く国民大衆に訴え、併せて、右と同じ目的のもとに唯一正当にも反安保半日政治ストを展開せんとする国鉄動力車労働組合東京地方本部の闘いを全面的に支持・支援し、これと連帯・共闘することにあつたものであつて、右は全人民の利益に合致し、社会共同生活上も認められた正当な目的であり、また、その目的達成のため選ばれた手段も、留置中の電車に抗議文字を記入するというまことに平和的なものであり、当時の社会状勢、すなわち、安保の自動延長に関する国会の審議は全くなされず、他方、社会党、共産党等の既成左翼もなんら有効適切な反対闘争を打てず、傘下の単産ゼネストで闘うとの方針を提起していた総評までもが、その戦術を大幅にダウンさせてしまつたという状況下においては、被告人らの判示行為は、その反安保の意思を有効に表明しうる手段としてまことにやむをえない、他に替るべき方法のないものと思料され、しかも、右行為によつて惹起された国鉄の物的損害ないし一部乗客の不快感は、被告人らが保全しようとした前記の全人民的利益に比較すれば、極めて僅少・軽微であるから、結局、被告人らの本件各行為は、いまだ社会的相当性の範囲を逸脱していないものとして、その違法性は超法規的に阻却されるべきであると主張する。

しかしながら、被告人らの本件行為が、所論のような動機・目的にでたものとしても、そのために立入りを禁止された国鉄の鉄道地内に不法に立ち入り、電車々輛五八輛を、判示のような手段・方法によつてそのままでは運行の用に供することができないようにしてこれを損壊し、前記のように国鉄に甚大な損害を与えるが如き本件行為に出たことは、その手段の相当性、補充性、法益の均衡性等いずれの点からみても、これが社会的に相当な行為であるとは到底認められない。この点に関する弁護人の主張も採用することができない。

(確定裁判)

被告人田中敏夫は、(1)昭和四五年八月二四日東京地方裁判所において兇器準備集合罪により懲役一〇月(執行猶予二年)に処せられ、右の裁判は昭和四六年二月二七日に確定し、(2)昭和四七年三月一三日東京地方裁判所において建造物侵入罪により懲役四月(執行猶予三年)に処せられ、右の裁判は同月二八日に確定したものであつて、右の各事実は検察事務官豊田登代彦作成の前科調書によつて認める。

(法令の適用)

被告人らの判示第一の行為は、いずれも、行為時においては刑法六〇条、鉄道営業法三七条、昭和四七年法律第六一号罰金等臨時措置法の一部を改正する法律による改正前の罰金等臨時措置法二条二項に、裁判時においては刑法六〇条、鉄道営業法三七条、右改正後の罰金等臨時措置法二条二項にそれぞれ該当するが、右は犯罪後の法律により刑の変更があつたときにあたるから、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、判示第二の行為は、いずれも、行為時においては暴力行為等処罰ニ関スル法律一条(刑法二六一条)、昭和四七年法律第六一号罰金等臨時措置法の一部を改正する法律による改正前の罰金等臨時措置法二条一項、三条一項二号に、裁判時においては暴力行為等処罰ニ関スル法律一条(刑法二六一条)、右改正後の罰金等臨時措置法二条一項、三条一項二号にそれぞれ該当するが、右は犯罪後の法律により刑の変更があつたときにあたるから、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、判示第二の罪についてはいずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は、被告人田中敏夫を除くその余の被告人につき、同法四五条前段の併合罪であるから、同法五三条一項により判示第一の罪の科料と判示第二の罪の懲役とを併科することとし、被告人田中敏夫については、前記確定裁判のあつた兇器準備集合罪および建造物侵入罪と同法四五条後段の併合罪であるから、同法五〇条によりまだ裁判を経ていない判示の各罪についてさらに処断することとし、なお、右の各罪もまた同法四五条前段により併合罪の関係にあるから同法五三条一項により判示第一の罪の科料と判示第二の罪の懲役とを併科することとし、以上各所定刑期および金額の範囲内で、被告人らをそれぞれ主文第一項のとおり量刑処断し、被告人らにおいてその科料を完納することができないときは、同法一八条により主文第二項のとおり労役場に留置することとし、なお情状により同法二五条一項を適用して主文第三項のとおり被告人ら全員に対してそれぞれその懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により、別紙訴訟費用負担明細表のとおり被告人らに連帯して負担させることとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(訴訟費用負担明細表略)

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